1.冷え症だとどんな困ったことがあるのか?そもそも治るのか?
冷え症は直接疾病と結びつかないせいか、現代医学的には明確な定義は無いです。手や足先が冷たい状態で、体温を計っても特に低くないことは珍しくありません。身体の中心部と末端の温度差が大きい状態が問題です。低血圧との関連が多く、身体の全体的な機能低下につながっていると思います。
また、あまり気にしていなかったりあきらめていたりする方が多いようです。
東洋医学では寒熱といって、からだが冷えているのか、暖かすぎるのか、ということを重要に考え、治療対象としています。
やわらぎ治療室では、夏でも靴下を履いて寝るほど足が冷たかった方が冬でも裸足で寝られるようになった方などいます。
体内に蓄積した寒邪を鍼・整体により体外に排出したり、水分循環を改善することにより、冷えが解消します。
体温が低いと
免疫力が下がり、自然治癒力が発揮しにくくなることが知られています。
- 腸内環境で善玉菌が活発に活動できなくなる。
- 細胞の活性が低くなる。
- 血液循環の悪化により各組織の栄養不足となる。
- 酵素活性が下がり、生命活動の質が低下
- ATP合成が弱まり、免疫、疲労、その他あらゆるエネルギーの低下となる
- 単純に生活しづらい
やわらぎ治療室の施術を試してみてはいかがでしょうか? なお、特に食養生をしながらの治療をお勧めしています。
2.身体は暖かいと良いのか?
「私は、手が温かいんですよ、冷え症じゃないんです」
時々女性の患者さんから聞く話です。これはどう思われますか?
私は誤解しているなぁ、と思います。たいていは手が温かいのに、脚は普通だったり、逆に脚は冷たかったりします。
暖かい、ということになにかプラスなイメーじを持たれている方はとても多いです。しかし、手と顔が温かくて足が冷たくても、その状態は健康的なのでしょうか?
私はその状態は「暖かい」というより「ほてっている」ということだと思います。
健康的な人は体温は暖かくも冷たくも無く全身まんべんなく同じ温度で、特に一部だけが暖かかったり、冷たかったりするものではないと思っています。
東洋医学的に診て、水分が滞りなくスムーズに身体を流れていれば、全身同じくらいの温度になるはずです。
一部だけ、普通は上半身だけだったり、自覚的には手の平だけが温かいのは水分の滞り、炎症が常態化している状態だと思います。
やわらぎ治療室で診た患者さんですとアトピーで全身の炎症が想像できるケース。ご本人は「私は暑がりな体質なんです」とおっしゃっていて、普通のことと考えていました。
しかし、私は病的なものを感じ、鍼灸治療を通して炎症を抑え、水分循環を改善させ、ちょうど良い体温にでき、それにつれアトピーも改善したことがあります、そして暑がりな体質ではなく、炎症が起きていたことを理解していただきました。
また、ある方は、手の平が温かく、それを良いことと思って生活していました。
調べてみると、脚は冷えていますし、頭も熱っぽい物を感じます。
病的で良い状態ではないことを説明しましたが、暖かいことは良いことと思っていたのでにわかには納得できず、しかし治療を通して手と足が同じくらいの温度になったのを理解すると納得していただけました。
3.身体の温度について陥りがちな誤解を鍼灸医学的に考える
冷え症の方からよく聞く話に、「暖かい物を飲むようにしています」「熱い風呂になるべく入るようにしています」という話をお聞きしますが、それはあまり効果が無いと思います。
一日何杯も熱いお茶を飲む方の手足がとても冷たかったり、熱い風呂に入っているのに冷え症の方はいくらでもいます。
逆に熱い風呂に入ったらその後ずっと冷えなくなったらそれはとても怖いことだと思いませんか?冷たいアイスを食べたらその後その人は冷え症になってしまうのでしょうか?
暑い物を飲むと冷え症が改善、熱い風呂に入ると冷え症が改善、するとすればそれは物理学のエントロピーの法則に反するすごいことだと思います。高熱で熱したゆで卵も取り出して放置すれば、せいぜい30分くらいで常温に戻らないでしょうか?
人間もどれだけ温めても同様にすぐ常温に戻るでしょう。熱い風呂と言ってもせいぜい40℃台です。ゆで卵のように沸騰したお湯に入るわけでもありません。
ゆで卵はすぐに冷めるのに人間がなぜずっと暖かいままでいられるのでしょうか?
東洋医学的に冷え症を改善すると言うのはそういうことではなく、身体を活性化して熱を産生する能力を回復させると言うことです。
3.1 一旦冷え症が解消すると陥りやすい誤解を鍼灸医学的に考える
もうひとつ、よくある誤解は暖かくなればなるほど健康になれる、というものです。人間は冷え症はよくありませんが、熱がこもってしまっている状態も良くありません。熱がこもり過ぎて体調不良になっている方もたくさん診ました。東洋医学的には中庸が常に良いことなのです。
鍼灸医学的には「寒熱」という表現をしますが、寒熱がちょうど良い状態になったら、次にほかの要素をちょうど良くする必要があります。そうして最終的には健康になれるのです。
身体が温かくなったら体調が良くなったのでもっともっと温まればもっともっと元気になれるだろう、という考えの方がいますが、それは短絡的と言わねばなりません
。これは根強くある誤解なのでくれぐれもご注意ください。
寒い時期に治療した結果手足が温かくなってうれしくなり、もっと暖かくなればもっと健康になれるだろうと考えました。ご本人はさらにもっと身体を温める努力をしました。
その結果夏にはすぐスタミナ切れになり、疲れやすくなってしまい、再来院、という患者さんもいました。
4.ではどうすれば良いのか?
人間は。もっと複雑にできています。身体が温かいほど健康度が高まるわけではありませんし、身体の一部が温まっても健康的ではありません。
夏に汗をダラダラ流している暑がりの人は健康的に診えますか?頭が熱をこもった状態を健康的と感じますか?そういう人を思い出せば単純に暖めれば良いわけではないことは理解できますね?
意外かもしれませんが、体内の血流を鍼灸を使って調整したり、無痛整体により身体の中で滞った水分をうまく流れるようにしたりすることができます。鍼灸、整体により内臓の働きが活性化すると、それに伴い、栄養から熱を賛成する能力がアップしたり、体内の水分循環改善により、余分な熱は自然と排出されます。その結果として適度な状態になります。
寒熱をちょうど良い状態にしたらそれを維持し、次にはそれ以外の調整をすることがベストです。
冷え症、ほてりが解消したら、あとはどちらにも極端にならないようにすることです。夏は少しだけ冷やし、冬は少し暖かめが良いでしょう。
熱のアンバランスを鍼灸、整体、食養生で治すと、生活も快適になると思いますし、自然治癒力が回復して冷え症、ほてりの解消とともに耳鳴りや頭痛や肩こりなどの改善につながることが多いです。また、すっきりした印象で元気になる人が多いです。ぜひご検討下さい。
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