やわらぎ治療室で、生まれて初めて鍼灸治療を受けるという方の治療をすることがよくあります。そのときに時々訊かれると言っていいほど質問されるのがこのことです。
これは患者さんにしてみたらとても気になることだと思います。しかし大変答えに困る質問でもあります。なぜならわれわれの日常生活における考え方とはまったく違うためにうまく伝わりにくいからです。
そのため、なるべく頭を柔らかくして読んでいただきたいと思います。-
この記事の目次
- 東洋医学的な考え方(臓腑理論)
- 経絡について
- 発症のメカニズム
- 経穴とは?
東洋医学的な考え方(臓腑理論)
みなさんの身体の中には内臓があります。これが東洋医学では11個あると考えられています。そしてここには「気」と呼ばれる生命エネルギーが宿っており、この「気」が生命活動を支えています。心臓を動かす、食べ物を消化・吸収する。などというものがそうです。それ以外に「気」は内臓から出て頭、皮膚、脚、生殖器など身体のあらゆる場所に動いて日常生活のエネルギーとして身体を支えています。物を見る、思考する、手足を動かす、などすべてが「気」によって支えられています。
経絡について
こうして「気」は内臓から出て身体を巡ってまた内臓に戻ってくる。ということを繰り返しています。そしてその間にいろんな活動をしているわけです。この「気」の通り道は「経絡」(ケイラク)と呼ばれます。
発症のメカニズム
しかし、なんらかの原因によって「気」の流れが悪くなることがあります。これは食生活の乱れ、気持ちの乱れ、身体に過度な負荷をかける。ケガなどさまざまなことが原因となりえます。そしてこのときに、さきほどの「経絡」に詰まりが生じたり、内臓に毒化したものが発生したりします。
これはきれいな水が流れている川に障害物が発生し、ゴミや泥などが溜まってしまい、それが徐々に堆積してそこの水が汚れてしまったり、川の外に水があふれ出してしまったような状態です。
経穴とは?
こうなると、それが経絡上にある経穴(ツボ)に反応が現れます。こういうときにそのツボを押すと痛みを感じたり、気持ち良さを感じたりする状態となります。もとの状態に戻すには障害物を取り除く必要があります。
そしてこのツボに対して鍼を刺すと、そこに詰まっていたものが流れ始めたり、毒化したものが排泄できるようになったりします。こうして「気」の流れが改善されるとあら不思議、痛みが無くなっている。苦しかったお腹が動き出す。といったようなことになるのです。
足三里は有名なツボですが、胃とつながっています。
胃の経絡上に存在し、このツボに鍼をして、胃が動き出すのをテレビで放送していたのを見たことがあります。
実際、三里への刺激で急にお腹がすき始める方をよく経験しています。
他にも鍼灸(ハリ)による治癒のメカニズムはあるのですが、わかりやすいものは上記のようなことです。