よくある誤解

なにかがわかるまでに、すごく時間がかかることが、あるものなのよね
 ムーミンママの言葉

東洋医学というのは我々に身近にあるようで本当に重要なところはあまりわからないのが実情だと思います。そのためさまざまな誤解を抱いていると思えるケースがあります。 以下によくある誤解を記しておきます。少しでも誤解が解けたら嬉しく思います。

・東洋医学ってなんですか?鍼を刺す場所は、神経ですか?筋肉ですか?
鍼を刺す場所は(経穴)です。神経でも筋肉でもありません。東洋医学は、経絡(気エネルギーが流れる道)の循環を改善させることにより、体調を改善させます。 経絡は基本となるものが12種類、それが左右で24本あります。ツボ(経穴)は400種類以上、左右で800程度あります。また経絡にも経穴にも性質があり、それらを見極めたうえで調和させるようにしないと、効果が出ません。患者さんの体質を見極めたうえで、多数あるその経穴を使って経絡循環を改善させるということになり、とても複雑です。多くの方はもっともっとシンプルなものを想像されているようですが、想像しているものとはかなり違っています。

・「ここがつらいんで、ここに鍼をうってください。」
症状がある場所を刺激するのが最も効果的な治療法だという発想ですね。 それが効果的な場合もないことはないけれど、大抵の場合、それだけではあまり効果が出ないというのが東洋医学の考え方です。 ちなみに鍼に薬を塗って刺すわけではありません、マッサージも指で薬を塗るわけではありません。なのになぜ、患部への刺激が効果的だと思うのでしょうか?
仮に症状のある場所がもっとも効果の出る場所だとすると、家族や友人に頼んで押してもらうなり、お灸をするなりすれば治ることになりますが、いかがでしょうか?治っていたら鍼灸院のこのページを見ていませんね。
「いやいや、素人のそれとプロの施術とは違いますよ」と言う方がいるかもしれません。でも、赤の他人より、身近な方のほうが「もっと上、もっと右」とか言いやすくはないですか?
家電ショップではピンポイントで刺激できるマッサージ器があります。これなどは我々よりはるかに素早い振動、強弱も自分自身で調節できますからとても楽ですね。使った方もいると思いますが、どうでしたか?治りましたか?
それで治れば全国の鍼灸院はすべて廃業するしかないと思います。しかし、そうはなっていませんね。 また、その発想だと、花粉症で鼻水が出ているときは鼻の穴に鍼を刺すのが最も効果的な治療法、耳鳴り、めまいには耳の穴の中に鍼を刺すのが効果的、痔の場合は…、どうですか?そういう治療をお望みですか? 「いやいやそういう時は別なツボが効果的なんでしょ?」という答えがあるかもしれませんが、その場合分けはどのようになるのでしょうか?それほど我々の都合にあったように体はできているのでしょうか?私にはその発想は理論的ではないと感じます。
また根強くある誤解として、「患部を押してもらったら、気持ちが良いからここを施術すべき」というものがあります。確かにその時は気持ちよいかもしれませんが、すぐ元通りになるのが普通です。「気持ち良い」ことと「改善する」ことの違いをご理解ください。

・「□□の○○さんのマッサージはよくツボに入って気持ちいいんですよ」
よく聞く話ですが、それはなんというツボでしょうか?ツボの名前はお聞きしたことがありません。また、ツボが存在しないような場所を指さして「ここを揉んでもらったらすごくツボに入るんだよねぇ、すごく上手な人だったよ」といった話もお聞きします。
自分自身の場合はうつぶせで揉んでもらった場合、つまり揉んでいる場所が見えない場合、ツボなのかどうかよくわかりません。私の経験ではうまくツボの効果が出ているときは、その場所の自覚が問題ではなく、身体がポカポカしてきたり、リラックスしてきたり、いつの間にか痛みを感じなくなったり、ねむくなったり、お腹が急にグルグル鳴り出したりします。これらは体調が改善している証拠です。
つまり、多くの方が感じている、刺激を受けた場所の感覚は体調と無関係であることが多いです。あなたは、刺激を受けた場所が心地良いけれど、施術が終わると元のままの体の施術と、身体がポカポカしたり、ずっと症状が消えていることとどちらが重要でしょうか?

・「○○症のツボはここですよね?」
テレビなどで、○○症のツボはココ、とかやっていて、その影響だったりするのかと思います。 これもそこが効く場合もあれば効かない場合もあり、その人の体調に合わせてツボを使わないと効果は期待できません。 残念ながら、機械的に症状をあてはめてもなかなか効果が出ません。あなたの体調に合わせた治療をお勧めします。
表面的な症状がとても似ているのに東洋医学的に診ると原因がまったく逆であることも少なくありません。その場合、原因が違うわけですから当然まったく違うツボを使うことになります。 「○○症のツボとは○○に効果があることがあるツボ」であってあなたの○○症に効くことを保証してくれるツボではない、とお考えください。

・「以前ここに鍼をうってもらったら効いたんでまたここにお願いします」
治療で効果があると、普通体質が変わります。それはご自身で感じる場合もありますが、ふつうはわからないようです。そして体質が変わると、以前効いたツボは効果が出なくなることは少なくありません。やはりケースバイケースで、その人の今現在の状況に合わせた治療が必要だと感じます。

・「足の裏にはたくさんのツボがあるんですよね」
足の裏にツボは1つしかありません。それは「湧泉」です。 たくさんある。と言われているものは、「反射区」と言われるもので、ツボとは違います。ちなみにツボは「経穴」と書きます。 それぞれ異なる理論体系で使われるものです。

・「鍼なんて刺しても治るとは思えません」
確かに縁のない人にとって、鍼を刺すことによって治るのは不思議なものです。 しかし、鍼灸という業種がずっと存在していること、さまざまな健康法がブームになっては消えていく中、安定して存在し続けているのはなぜでしょうか? これはやはり効果があるからだとしか言えないと思います。 中国で発祥してから数千年残っている治療法であることは効果があることの証拠として充分なものだと思います。数千年の間で鍼灸治療に通った人は数え切れないほどいます。彼らはみな、だまされていたのでしょうか?それはありえません。
また、「一度鍼治療を受けたが効かなかった。鍼は効果ないんだよ」とおっしゃる方もいますが、鍼治療は様々な流派があり、それぞれまったく違った考え方で治療しています。そのため、初めて受けた治療が合わなかったからと言って、鍼治療そのものが合わないかどうかはわかりません。 あとはもう体験していただくしかないと思います。

・「鍼はクセになると聞きました」
初診の方からたまに聞く話です。この話の出所を尋ねてみると、「友達の母親の同級生がクセになったらしい」とか、「どんな風にクセになっているのかはよく聞いてないし、知らない」というようなあいまいなお話で、根拠がある話だったことがありません。クセになるのが心配でしたら、ぜひ、

  1. クセになった人の話を聞いてください。
  2. どのような経過でクセになったのか聞いてみてください。
  3. クセになるとはどんな定義なのか教えてください。
  4. 本人はクセになっていることをどう感じているのか聞いてみてください。

やわらぎ治療室に通っている方から、クセになった。という話を聞いたことがありません。健康維持のための治療を「クセになる」と言うのであれば、それは言葉の使い方が違うと感じます。

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